在宅で看取りをするという決断は、勇気のいることだと思います。
ご本人は
「積極的な治療を止め最期の時を待つ」
「医療機関ではなく家族に自分の全てを委ねる」
一方、ご家族は
「ご本人の生活・看護などを丸々抱え、何から何まで面倒を見ないといけない」
と決断するのでしょう。
確かにご家族の体力的・精神的負担は増えるでしょう。
でも、国も在宅での看取りを推奨し制度や体制も整いつつあります。
医師の訪問診療・訪問看護師や訪問介護員(ホームヘルパー)などのサービスがあります。
それぞれが専門家としてチームを組み、ご本人やご家族をサポートしてくれます。
そこで、医師・訪問看護師・ヘルパーの役割をわかり易くご紹介します。
また、先日、母を自宅で看取った経験者として経験談なども綴りました。
悩んでおられる方の、少しでも参考になりましたら幸いです。
また、ご質問や、お困りのことが御座いましたら「お問合せフォーム」から連絡ください。
微力ながらお手伝いできることがあるかも知れませんので。
在宅での看取りにおける医師の訪問診療とは?
医療制度上の問題で長期間の入院が制約されてきています。
その分、自宅や老人ホーム・グループホームなどの高齢者向けの施設で療養される方が増えてきています。
そこで、本来、病院で受診していた医療サービスを高齢者の人達のご自宅や療養されている場所で提供しようというのが「在宅医療」です。
在宅医療は大きく分けると「往診」と「訪問医療」分かれます。
では、「往診」と「訪問医療」とではなにがちがうのでしょう?
「往診」とは今までと同様に、
「○○の具合が悪くなったから来てください!」
「○○が熱を出したので診察してください!」というように
単発的に、患者さんからの依頼を受け医師が自宅に駆け付け診察をすることを言います。
「訪問診療」とは
患者さんが病院に通院する代わりに、医師が自宅や療養先に出向き診療をすることです。
1週間とか2週間いに1回程度の割合で、定期的に訪問し診療、治療、薬の処方、療養上の相談・指導などを行ってくれます。
まさに診療の出前みたいなものです。
また、患者さんやご家族から相談を受けた時点で、今までの患者さんの既往歴や現在の病気・病状などを詳しく聞くと同時に、患者さんが受診していた医療機関などから情報収集を行います。
その上で、どうのような治療を受けられたいのか?ご家族の状況はどうなのか?なども詳しく聞き診療計画や訪問スケジュールをたてていきます。
このように殆ど普段の通院での受診と変わりません。
急変時にはすぐに来てくれたり、入院が必要な場合は入院先の手配などもしてくれます。
多くの場合、24時間体制で在宅療養をサポートしてくれます。
在宅での看取りにおける訪問看護師の役割
訪問看護師とは、病気やけがなどで在宅で療養中の人や医療的管理やリハビリが必要な人の自宅へ直接訪問して各々にあったケアを提供してくれます。
簡単に言うと、看護師が自宅に来て、医療処置、バイタルチェックや食事、洗髪、入浴介助をしてくれます。
訪問回数は通常1週間に1から3回で1回の訪問時間は60分から90分くらいです。
イメージでいうと、入院した時に看護師・看護助手がする仕事をしてくれます。
また、当然ながら訪問時は1対1で対応していていただけるので、
訪問看護師さんの仕事は多岐にわたり状況により様々に変化をします。
「訪問看護師の仕事」
環境の確認と助言
・介護保険サービスなどの手配状況の確認と助言
・居室やベッド周りなどの安全確保、採光、換気、空調などの確認と助言
・杖、車イス、介護ベッドなどの福祉用品の手配状況の確認と助言
・ガーゼやオムツなど医療用品の手配
健康状態の観察と療養生活の助言
・血圧・体温・呼吸・脈拍のチェック
・利用者の状態の観察
・食事・運動・休養などへの助言
病気の治療のための看護
・お薬の服薬方法の指導、服薬確認
・床ずれ処置 (体圧分散・除圧・減圧、皮膚面の保湿・清潔ケアなど)
・血糖測定
・人工肛門・パウチ交換
・浣腸
・経管栄養(胃ろう・経鼻)
・摘便
・腸ろう・腎ろう・膀胱ろう管理
・たんの吸引(口鼻腔、気管切開)
・気管カニューレ管理
・薬剤やスチームの吸入
・永久気管孔管理
・ガーゼ交換
・導尿
・カテーテル管理
・人工呼吸器管理
・点滴
・IVH管理(中心静脈栄養)
・注射(静脈、筋肉、皮下)
・在宅酸素療法
・採血
療養生活のお世話
・食事のお手伝い
・口腔内の清潔ケア
・洗面・洗髪
・シャワー・入浴・手浴・足浴などのお手伝い
・身だしなみを整えるお手伝い(髭剃り、整髪、お着替えなど)
・排泄のお手伝い(トイレ移動介助、オムツ交換)
・体位変換(体の向きを変える)
・車いすやベッドへの乗り移りのお手伝い
精神・心理的な看護
・リラックスのため手足や頭などをマッサージ
・ゆっくりと時間をとって会話のお相手
・テレビや音楽鑑賞、読書のお手伝い
・気分転換のためのお散歩や旅行などへの付き添い
・筋・神経疾患の方との文字盤を使った会話
・不眠時や精神的に不安定な際の声かけや見守り
・治療やリハビリテーションへの意欲喚起
在宅でのリハビリテーション
・リハビリテーションに臨むための体調管理
・寝たきり予防のためのケア
・日常生活動作の訓練
・転倒・転落、オーバーペースなどの危険防止
介護するご家族の相談や技術指導
・ご家族のお悩み相談
・看護・介護の知識や技術の指導
・認知症の正しい知識と接し方の指導
・医師の診察結果をわかりやすく説明
様々な介護サービスの使い方や連携方法の相談
・介護保険、医療保険の説明
・医療機関や自治体などの相談窓口の紹介
などです。
24時間365日対応してくれ、在宅での療養生活が送れるように支援してくれます。
また、医師・ホームヘルパー(ケアマネージャー)と連携を取り
様々な在宅ケアサービスを提案したりしてくれ中心的存在となります。
在宅での看取りにおける訪問介護員(ヘルパー)の役割
訪問介護員(ホームヘルパー)とは、介護保険の認定を受けている人のケアを行ってくれ、今ではヘルパーさんと定着しています。
生活介護(掃除、洗濯、買物や食事の用意など)でお使いの方が多いみたいです。
訪問介護には、上記の生活介護と身体介護に分れていて
要介護の利用者に対して、ケアマネージャーがケアプランをたてて、必要な身体介護も行ってくれます。
訪問看護師のサポート的役割を担っています。
介護認定区分にもよりますが、毎日1回の訪問で1回の時間は60分くらいです。
また、ベッドなどの介護用品の購入やレンタルの手配もケアマネージャーがしてくれます。
「訪問介護で行われる身体介護」
・食事介助
・入浴介助(足浴等も含む)
・排泄介助(トイレ誘導やおむつ交換)
・着替えの介助
・清拭(身体をタオルで拭く)
・身体整容(洗顔・歯磨き)
・移動介助(車椅子やベッド)
・体位変換介助(寝たきりの体制を変えること)
・起床や就寝の介助
・外出介助(買い物への付き添い)
・服薬介助
などがあり、生活介護と併せて行ってくれます。
まとめ
このように、医師・看護師・介護士がチームを組み、ご本人やご家族をサポートしてくれます。
ここで中心的な役割を持つのが、訪問看護師とケアマネージャーです。
ケアマネージャーのケアプランによりホームヘルパーが介護するので、
訪問看護師とケアマネージャーが連絡を取り合い連携をしてもらうことにより、より良いサポートを受けることができます。
訪問看護師はご本人の病状やバイタルのチェックをし、医師に伝えるという役割も持ちます。
医師の指示により、処置や投薬などを行いますが、その状態を医師に伝えるのは訪問看護師となります。
在宅での看取り経験者として思うのは
訪問看護師は瞬時の判断を迫られたり、かなりの知識と経験が必要だと思います。
24時間対応で夜中でも何かあれば電話をし、的確な指示をもらい処置をしていると
20分くらいで来てくれました。
とても心強かったですし、母も信頼し安心していたようです。
また、ケアマネージャーの対応も早く、ベッドの交換などでも連絡をした当日交換ということもありました。
良い訪問看護師・ケアマネージャーに出会えたことに感謝します。
母の年寄りネットワークのお蔭ですが(笑)
最後までお読みいただきありがとうございます。