皆さんは、「陰陽五行説」という言葉を聞いたことはありますか?
今回は、「なんとなく知っているけどよくわからない…」という人のために、たった10分でわかる陰陽五行説についてご紹介します。
陰陽五行説の歴史や由来、考え方などをポイントに分けてどこよりもわかりやすく解説しますので、知識がゼロの人でも安心してくださいね。
陰陽五行説って何?
「陰陽五行説」は、「陰陽説」と「五行説」が組み合わさった中国思想のことです。
宇宙の生成、自然のめぐり、人体の仕組みなど、宇宙から人事まであらゆる自然現象を説明するために用いられた世界観です。
この2つの言葉は、もともと中国哲学の考え方ですが、風水や占いなどでもよく使われるものなので、耳にしたことがあるという人は少なくないと思います。
では、順番に説明していきます。
陰陽説の歴史、由来
紀元前10世紀前後に中国で始まったとされており、インドが起源でアーユルヴェーダの考えから発展したとも言われています。
インドの伝統的医学で、医学だけではなく、生活の知恵や生命科学、哲学の考え方も含まれており、病気の治療と予防だけでなく、より善い人生を目指すもの
陰陽説の考え方
世の中の全てのものを「陰」と「陽」の2つに分け、その「陰」と「陽」は、お互いに影響を及ぼすという考え方です。(「陽」が善、「陰」は悪と思われがちですが、そうではありません。)
例えば、季節や気候を例にするとわかりやすく、夏は「陽」、冬は「陰」という感じになり、
陰と陽は、それぞれ別々というよりは、常にお互いが変わり、補い合う関係だとされています。
そのため、夏から冬への徐々に季節が変わったり、それぞれが固定したものではなく常にお互いが関わり合っています。
陰と陽の考え方は、中医学の気の流れや心理作用としても応用されています。
生理学、病理学、薬学などの理論と数千年の歴史に裏打ちされた臨床経験に基づく中国の伝統医学
また、「地に降る雨(陰)がやがて蒸発して天の雲(陽)を作り出し、その雲が雨を降らす」など、陰が陽を生み出したり、陽が陰を生み出すようにお互いに影響をする関係になります。
陰と陽の二つは、常に相対的であり、どちらか片方では成り立ちません。
・陽の性質 より速く、より温かい、非物質的な性質があります。
この性質上の違いから、
より遅く、冷たい「陰」は夜や冬になり、
より速く、温かい「陽」は太陽の光がある昼間や夏になるのです。
陰陽説と考えると、なんだか少し難しいかもしれませんが、
陰と陽のそれぞれの性質をちゃんと把握しておけば、大体のイメージはつかめると思います。
より具体的に理解するために、陰陽の性質をまとめました。
・「陽」:非物質的・拡張・速心力・水平・明るい・暖かさ・乾燥・硬い・男性など
心理面での陰陽の考え方
心理的な要因にも当てはまります。
内側にある「陰」は、感情や印象などに関わり、外部のものを受け入れる受容が陰の心理的要素の大きなポイントです。
<陽の心理的な性質>
自分を外に出す、自分を表現するのが陽の心理的な性質で、思考や分析などに関わります。
「陰」:感情・感覚・直感・感受性・順応性・冷静・安心など
「陽」:思考・分析・表現力・行動力・自信・興奮など
これで、陰陽説の基本的な内容はわかっていただけたと思います。
次は、陰陽五行説のもう一つ「五行説」について詳しく解説していきます。
五行説の歴史、由来
陰陽説に比べると新しく、紀元前400年前後が最初の記録になっています。
960年以降に、医学の分野にも取り入れられるようになった五行説は、陰陽説とともに東洋医学の根本的な考え方として認識されています。
五行説の考え方
「五行」とあるように、世の中の全てのものは、
木(植物)、火(熱)、金(鉱物)土(土壌)、水(液体)の5つの元素に分けられます。
この「木(植物)、火(熱)、金(鉱物)土(土壌)、水(液体)」5つが、お互いに影響し合い自然界のバランスを保っていると考えられているのです。
この五行には、ポジティブな関係である「相生関係」と、ネガティブな関係である「相剋関係」があり、下記の図を参考にするとわかりやすいでしょう。
参照元:http://www.deva.jp/blog/?p=48
画像のように、相生関係の性質は隣同士になりますが、相剋関係のものは向かい合います。
火(か) :夏・南・赤・昼・心臓・舌・4、5、6(月)など
金(ごん):秋・西・白・夕・肺臓・鼻・7、8、9(月)など
土(ど) :土用・中央・黄・午後・脾臓・口など
水(すい):冬・北・黒・夜・腎臓・耳・10、11、12(月)など
相生(そうせい)関係
最初は「水」から始まり、水を吸って「木」が育つ、そして「火」で勢いを増し、燃えた灰は「土」の栄養となる。地中で養分が固定し「金」を生じさせ、やがて金属が溶けて「水」に戻ります。
このように、永遠に続く循環は、「相性が良い」とされ、相生関係と呼ばれるようになりました。
相剋(そうこく)関係
相剋関係では、向かい合う性質は、お互い抑えながら調整します。
「水」は「火」を消し、「木」は「土」の養分を吸い込み、勢いを調整する。
「火」は「金」を溶かして調整し、「土」は「水」の流れを止める。
「金」は「木」を切り落とし調整する。
どれか一つが欠けるだけでも、全体的なバランスが崩れるので、全部欠かせない大切な要素です。
比和(ひわ)
この2つの関係の他に、「木」と「木」、「火」と「火」、「土」と「土」、「金」と「金」、「水」と「水」など、相乗効果でより活発になることを「比和」と言います。
比和は、必ずしも良い影響になるとは限らず、良い方向に行けばさらに良くなりますが、悪い方向に行くと、悪化することになります。
例えば、陽の「木」である樹木が重なると森になって、陰の「木」である草などが重なると茂みになります。
このように、基本的に比和は、プラスの意味で使われることが多いです。
相侮(そうぶ)
相剋関係が反転した状態で、反剋する関係を言います。
例えば、「木」は「火」に相生ですが、「木」が多すぎたり「火」が小さすぎれば「火」は消えてしまいます。
このような状態を相侮と言います。
医学面での五行説
五行説は、私たちの体や心の状態にも大きく関わっています。
体を構成する五臓や五感などは、全てこの五行説に分類されます。
「腎」・「肝」・「心」・「脾」・「魄」の5つは、それぞれ「水」・「木」・「火」・「土」・「金」の五元素に対応しています。
例えば、体の「水」のエネルギーが不調を起こすと、「腎」の機能が低下します。腎が低下すると「肝」の症状が表面化するなど、全てに影響を及ぼします。
精神的な状態を「五神」と言い、「志」・「魂」・「神」・「意」・「魄」の5種類あります。
これらも、五元素の「水」・「木」・「火」・「土」・「金」に対応しており、
私たちの体の「水」エネルギーや「腎」に不調があると、精神的要素の「志」に影響して、気分が下がります。
「魂」・・・夢や目標を定め、実現化していくエネルギー
「神」・・・自分らしさ・自己肯定感・個性の源で、五神を調和させ維持する中心
「意」・・・情報や知識の吸収と分析といった精神活動に関係
「魄」・・・人間の肉体的、動物的、本能的なもので、動物的な第六感ともつながるもの
また、季節や気候も五行説に当てはまる
春や夏など、季節や気候もこの五行説に関係しており、
例えば、「木」に対応する春になると、同じ要素のある「肝」の調子が悪くなったり、「土」に分類される夏には、消化器系の「脾」に影響が出ることがあります。
これらのように、全てのものが五行により分類され、お互いに影響を及ぼし合うというのが五行説の考え方です。(※この五行の考え方と四千年の歴史の中での臨床データーが中医学の中核となっています)
この五行とやがて陰陽思想が結びつくことで、陰陽五行説になったのです。
現代に生かされる陰陽五行説
現代にも大きく関係していることがわかった「陰陽五行説」ですが、その考え方や意味を把握しておくことで、ツボ押しなど日頃のちょっとした体の不調の改善にもつながります。
ツボ押しで大切になるのは、「相生関係」と「相克関係」
例えば、胃の調子が悪い時、「土」に割り当てられる胃は、火の性質をもつ小腸、または「金」の性質を持つ大腸のエネルギーが流れるツボを刺激することで、胃の調子が改善します。
これが、相生関係です。
そして、相克関係では、
胃が活発になりすぎて起こる症状に対して、「土」の性質に勝る「木」の性質を持つ胆のうのエネルギーを持つツボを押してあげることで、胃のエネルギーが抑制されるという感じです。
まとめ
今回は、古代中国の春秋戦国時代頃から発達してきたとされる自然哲学思想の「陰陽五行説」について、ポイントを抑えながら解説しました。
長い年月をかけて、自然や医学などあらゆる方面で活用しているこの五行陰陽説は、日本文化にも深く根付いています。
また、もし体の不調などがあった時など、身近な場面でも役に立つ知識なので、この機会に内容を理解しておきましょう。
では、この記事が皆さまの役に立てば嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。