牡蠣(かき)が美味しい季節になりました。
子どもの頃は食感や見た目が苦手だったけれども、大人になってから牡蠣の美味しさが分かるようになったという方も多いのではないでしょうか?
様々な栄養素が多く含まれていることから、「海のミルク」と呼ばれる牡蠣。
牡蠣が健康に良いことは多くの方がご存知だと思いますが、具体的にはどのような効果があるのでしょうか?
そこで、牡蠣の種類や牡蠣に含まれる栄養素、牡蠣を食べることのメリットとデメリット、新鮮な牡蠣の選び方を紹介します。
牡蠣の種類
牡蠣を美味しく、安全に食べられる時期は「月を英語表記にした時に、後ろに『r』が付く月」だと
聞いたことはありませんか?
具体的には、September、October、November、December、January、February。
つまり、9月から2月の半年間を指します。
しかし、場所によっては、夏でも美味しい牡蠣を食べられることをご存知でしょうか?
牡蠣には真牡蠣と岩牡蠣の2種類があります。
真牡蠣
真牡蠣は3メートルまでの海面下で養殖されます。
旬は冬から春なので、先述した「9月から2月の半年間」に美味しく食べられる牡蠣です。
産卵期は夏で、一回の産卵で旨味成分を使い果たしてしまいます。
岩牡蠣
岩牡蠣は5メートルから10メートルの海面下で育つ(養殖ではなく天然もの)ものが多いです。
旬は5月から8月で、先述した「夏でも美味しい牡蠣」に該当します。
岩牡蠣も夏が産卵期ですが、数回に分けて産卵するため、旨味成分を少しずつ使うといわれています。
つまり、真牡蠣の旬は冬、岩牡蠣の旬は夏ということですね。
牡蠣に含まれる主な3つの栄養素
牡蠣には、鉄分やビタミンB1、B2、B12、亜鉛やタウリン、グリコーゲンなど、様々な栄養素が豊富に含まれています。
他の食品に比べて、含有量が特に多いのは亜鉛、グリコーゲン、タウリンの3つ。この3つの効果を見ていきましょう。
1.亜鉛の効果
亜鉛はタンパク質の合成に必要な酵素の材料といわれており、私達の身体に必要な必須ミネラル16種の一つです。
私達の体内には亜鉛が2000ミリグラム存在しているといわれていますが、亜鉛は体内でつくり出すことができないため、食事から摂取する必要があります。
亜鉛を摂取することで、免疫力を向上させたり、男性機能を改善したりすることができますが、他には次のような働きがあります。
味覚障害を防ぐ
甘い、辛いなどの味覚は、私達の舌にある味蕾(みらい)で感じ取ります。
子どもの頃には味蕾が1万個あるといわれていますが、20歳になる頃には5千個に減り、年齢を重ねるにつれて味蕾はどんどん減少します。お年寄りがハッキリした味の食べ物を好むのは、このような理由があるからなのです。
味蕾にある細胞を「味蕾細胞」といい、味蕾細胞は短いサイクルで生まれ変わるのですが、亜鉛はこの生まれ変わるサイクルに必要な栄養素です。
亜鉛をしっかり摂取することで、味蕾の働きを保ち、味覚障害を防ぐことができます。
健康的な髪や皮膚を維持する
私達の髪や皮膚を構成するタンパク質。
健康的な髪や皮膚には、タンパク質の代謝が欠かせません。
亜鉛にはタンパク質の代謝を促進する働きがあり、髪や皮膚に生じたトラブルを改善し、髪や皮膚を健康的に保つことができます。
うつ状態を緩和する
感情をコントロールしたり、物事を記憶したりするためには、神経伝達物質が正常に働く必要があるのですが、脳の機能が低下し、神経伝達物質がスムーズに働かなくなると、うつ状態に陥りやすくなります。
亜鉛を摂取することで、この神経伝達物質がつくられるので、脳の機能を高め、うつ状態を緩和できると考えられています。
亜鉛の一日の必要量は、成人男性で12mg、成人女性で10mgとされています。
大きさによって異なりますが、一般的に牡蠣一個に含まれる亜鉛は2.6mgなので、男性なら5個、女性なら4個の牡蠣を食べるだけで、一日の必要摂取量を満たすことができるのです。
ちなみに、亜鉛の一日の許容摂取量は30mgで、牡蠣14個程度です。
食材の中には調理方法によって栄養素を破壊してしまったり、逆に栄養素が増加したりするものがありますが、牡蠣は調理方法を選びません。
生で食べても、フライや鍋など、熱を通して食べても、亜鉛の量は変わらないので、好きな調理方法で食べてください。
ビタミンCはキレート作用により亜鉛を体内に吸収しやすくしてくれるので、ビタミンCが多く含まれているレモンや柚子などを牡蠣に搾って食べるのがおすすめです。
2.グリコーゲン
グリコーゲンは糖質の一つで、炭水化物に分類されます。
炭水化物は身体を動かすのに必要なエネルギー源ですが、中でも、グリコーゲンの特徴はエネルギーに変わるスピードが速いこと。
運動して体力を消耗すると、体内に蓄えられていたグリコーゲンが身体全体にすぐに行き届き、疲れを吹き飛ばしてくれるのです。
疲労回復効果の他、グリコーゲンには糖尿病を防いだり、改善したりする働きがあるといわれています。
その理由は、日本人の身体はインスリンの分泌量が少ないにもかかわらず、インスリンの分泌量が多い欧米人と同じ食生活をしているため。
グリコーゲンにはインスリンの分泌を促す働きがあるので、血糖値を調整でき、糖尿病に効果があるといわれているのです。
3.タウリン
タウリンと聞くと、栄養ドリンクを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
タウリンはアミノ酸の一種で、体内でもつくられるため、非必須アミノ酸とされています。
しかし、身体をよく動かす方は積極的に摂取したい栄養素です。
というのも、タウリンは筋肉が収縮する際に消費されるので、筋肉疲労を防いだり、疲労を回復したりする効果があるからです。
筋肉疲労に効果がある他、タウリンには血圧を正常に保ったり、コレステロールを低下させたり、肝機能を高めたりする働きがあります。
肝機能が低下すると、気付かないうちに身体の様々な箇所に問題が起き、日常生活に支障をきたしてしまいます。
お酒を毎日飲んでいる方や二日酔いになってしまった方は、牡蠣を積極的に食べるといいですね。
3000mgを超えて摂取したとしても、尿や汗などで体外に排出されるので、過剰摂取による副作用などは出ません。
タウリンを1000mg摂取するためには、牡蠣を3個食べれば良いといわれていますが、ここで注意したいのが調理方法。
タウリンは熱に弱いため、熱を通さずに生で食べるのがおすすめです。
牡蠣を食べることのメリットとデメリット
牡蠣を食べるメリット
牡蠣を食べることのメリットを、牡蠣に含まれる栄養素から挙げると、
- 免疫力を向上させる
- 男性機能を改善する
- 味覚障害を防ぐ
- 健康的な髪や皮膚を維持する
- うつ状態を緩和する
- (筋肉)疲労を回復する
- 血糖値を調整し、糖尿病を改善する
- 血圧を正常に保つ
- コレステロールを低下させる
- 肝機能を高める
となります。
牡蠣を食べるデメリット
一方、牡蠣を食べることのデメリットといえば、やはり食中毒のリスクではないでしょうか。
牡蠣の内臓には、食中毒の原因となる細菌やウィルスが付着していることがあります。
食中毒の原因は加熱することで取り除くことができるので、牡蠣を生で食べる時には十分に注意が必要です。
また、牡蠣を生で食べることでノロウィルスに感染する可能性もあります。
生で食べられる牡蠣は、浄化工程を経ている牡蠣のみです。
第四章:牡蠣の選び方
食中毒やノロウィルスのリスクを考えると、できるだけ鮮度が良い牡蠣を選びたいですよね。
むき身の牡蠣を購入する場合
貝柱が半透明で、全体的に丸みを帯びている牡蠣を選びましょう。
また、鮮度が良いものは、身が少し黄色みがかっています。
収穫してから時間が経過している牡蠣は、貝柱が乳白色に、身が白色になっているので、貝柱と身の色をチェックしてくださいね。
殻付きの牡蠣を購入する場合
殻が全体的に丸く、傷が少ない牡蠣を選びましょう。
傷が多い牡蠣は収穫時や収穫後の洗浄工程でダメージを受けている可能性があります。
殻は閉じている牡蠣が良いですが、開いていたとしても叩いて閉じれば、鮮度が良い証拠です。
まとめ
牡蠣の種類、牡蠣に含まれる栄養素、牡蠣を食べることのメリットとデメリット、牡蠣の選び方を紹介しました。
様々な栄養素が含まれている牡蠣ですが、中でも、亜鉛、グリコーゲン、タウリンが特に多く含まれています。
これらの栄養素の働きから、牡蠣を食べることには、
・免疫力を向上させる
・男性機能を改善する
・味覚障害を防ぐ
・健康的な髪や皮膚を維持する
・うつ状態を緩和する
・(筋肉)疲労を回復する
・血糖値を調整し、糖尿病を改善する
・血圧を正常に保つ
・コレステロールを低下させる
・肝機能を高める
などのメリットがあります。
一方、デメリットとしては、食中毒やノロウィルスのリスクが挙げられます。
これらの原因は加熱することで取り除くことができるので、85度以上のお湯で一分間以上熱を通すようにしましょう。
生で食べられる牡蠣は、浄化工程を経ている牡蠣のみなので、市販の加熱用牡蠣を生で食べることは絶対にやめてください。
殻付きの牡蠣であれば、殻が全体的に丸く、傷が少ない牡蠣を選ぶといいですよ。
冬のイメージが強い牡蠣ですが、牡蠣には冬に旬を迎える真牡蠣と夏に旬を迎える岩牡蠣の2種類があり、一年中牡蠣を食べることができます。牡蠣を食べて、病気知らずの健康体を手に入れましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。