昔から、パワハラやセクハラという言葉はよく耳にしますが、最近、モラハラ(モラルハラスメント)、オワハラ(就活終われハラスメント)、マタハラ(マタニティハラスメント)など、ハラスメントの言葉がどんどん生まれています。
現在、ハラスメントの種類は35種類にも及ぶのだとか。
その中でも、梅雨の時期や夏に特に注意したい「スメルハラスメント」について、原因や注意点を紹介します。
スメルハラスメントとは
スメルハラスメントは、スメル(におい)のハラスメント(嫌がらせ)で、においで周りを不快にさせることを指し、略した「スメハラ」という言葉がよく使われます。
スメハラの判断は、他のハラスメントに比べて難しいといわれています。その理由は2つあります。
- 自分のにおいに、自分自身が慣れているので、周囲がそのにおいを不快に感じていても気付きにくいためです。
友達の車に乗った時に、「私の車のにおいとは違う」と思ったことはありませんか?
おばあちゃんの家には行った時に、「私の家のにおいとは違う」と思ったことはありませんか?
自分の物のにおいに慣れているので、本人は違和感を抱くことがないのです。 - スメハラの「におい」には、体臭や口臭などの鼻をつくような嫌なにおいだけでなく、香水や制汗剤のにおいなど、一般的に言われる「いい香り」も含まれるためです。
個人によって、においの好き嫌いは分かれます。
香水や制汗剤のにおいを「いい香り」と思う人もいれば、鼻が敏感で、不快感を抱く人もいます。
周囲に気を遣って、汗のにおいを防ごうと、制汗剤をつけるのに、その香料で、逆に周囲を不快にさせる可能性があるのです。
つまり、スメハラとは、誰もが加害者になりうるハラスメントなのです。
スメハラとなる考えられる原因と要因
1.体臭(汗や皮脂から発生するもの)
汗や皮脂から発生する体臭には、ミドル脂臭、足臭、ワキガなどがあります。
ミドル脂臭
「ミドル脂臭」という言葉を聞いたことがありますか?
ミドル脂臭は、2013年に発見されたため、まだ定着していませんが、とても深刻なにおいです。
加齢臭とは異なる、30代でも発生する体臭で、主に後頭部から発生するといわれています。
ミドル脂臭の原因は、「ジアセチル」という物質で、頭皮の汗に含まれる乳酸が、ブドウ球菌によって分解されることで発生します。
酸素が体内をスムーズに巡らなければ、乳酸がたまりやすくなり、ジアセチルが大量に発生してしまうのです。
ジアセチルは生ゴミ、使い古した油のようなにおいです。
頭からそんなにおいが出ているなんて、自分では思いもよらないし、信じたくないもの。
気付かないうちに、スメハラをしているかもしれません。
足臭
足は汗をかきやすい、また、蒸れやすい部位です。
湿気や角質が多いと、雑菌が繁殖しやすく、足の指と指の間、爪と指の間には、雑菌が特にたまっています。
雑菌が多いと、足のにおいの原因であるイソ吉草酸が発生しやすくなります。
その靴を履くことで、更に足のにおいが強まってしまいます。まさに、悪循環ですね。
ワキガ
遺伝が原因ともいわれるワキガですが、脇の下は汗をかきやすい、また、洗い残しの多い部位です。
皮膚の常在細菌が汗を分解し、においの原因となる物質を生み出します。
2.体臭(加齢や生活習慣から発生するもの)
加齢や生活習慣から発生する体臭には、加齢臭、口臭、ダイエット臭、タバコ臭などがあります。
加齢臭
加齢臭は、皮脂腺の中にある脂肪酸と過酸化脂質が合体して発生する「ノネナール」という物質が原因です。
40代以降、脂肪酸と過酸化脂質の分泌量が増えます。
過酸化脂質は、肉中心の食事によって生まれる活性酸素が、体内の不飽和脂肪酸と結びつくことで発生するため、加齢臭は日々の食生活が原因だと言い換えることができます。
口臭
口臭には、
- 生理的口臭(起床時の口の渇きなど)
- 食べ物や飲み物による口臭(ニンニクやアルコールなど)
- 病気による口臭(虫歯や歯周病など)
- 生活習慣の乱れによる口臭(タバコなど)
があります。
生理的口臭以外は、乱れた食生活、飲酒や喫煙が原因なのです。
ダイエット臭
運動をせずに、無理な食事制限だけで痩せるなど、間違ったダイエットをしていると、身体の筋肉が落ち、基礎代謝が低下します。
その結果、脂肪の燃焼が妨げられ、「ケトン体」というにおいの原因となる物質が発生します。
ケトン体が血液の中に増加すると、息や汗から、最終的には、身体全体から排出されるようになり、甘酸っぱいような体臭が発生してしまいます。
タバコ臭
昔は、「分煙」、「禁煙」という考え方が定着しておらず、タバコのにおいが飲食店内やオフィス内に充満していました。
最近は、分煙したり、ランチタイムだけ全席禁煙にしたりする飲食店が増え、非喫煙者に配慮する世の中になりましたよね。
「オフィス分煙」という言葉も聞くようになりました。
駅やショッピングモール、ホテルでは喫煙スペースが設けられ、喫煙者は喫煙スペースに籠もってタバコを吸うようになり、非喫煙者が副流煙を吸い込むことが減りました。
また、密室でタバコを吸うことで、タバコのにおいが衣服につきやすくなっています。
非喫煙者にとって、このような残ったにおいもスメハラになることがあります。
3.生乾き臭
洗濯する前の汚れた衣服を、どこに置いていますか?
洗濯機の中に、洗濯するまで長時間入れていると、カビを含む雑菌が繁殖する原因になります。
特に、濡れたタオルなどは、洗濯機の中の湿度を上げるので、雑菌の繁殖を早めてしまいます。
また、部屋干しをすると、洗濯物を乾かす時間がかかりますよね。
その間に、雑菌が発生して、生乾き臭の原因になります。
4.香水
飲食店で、食べ物のいいにおいが香水のにおいで遮られたら、食事を楽しむことができませんよね。
人によっては、食べ物のにおいと香水のにおいが合わさることで、気持ち悪くなってしまうこともあります。
また、毎日香水をつけていると、においに慣れてきて、たくさんつけてしまいがちです。
汗をかいたら、汗のにおいを消すために、何度もつけ直してしまうことも。汗のにおいと香水のにおいが混ざって、自分が思っている以上にきついにおいを振りまいているかもしれません。
5.制汗剤
汗を防ぐためにつける制汗剤ですが、汗をかいた後は、ついついたくさんつけてしまいがちです。
スプレータイプの制汗剤は、勢いよく噴射すると、自分だけでなく、周囲にもかかってしまうおそれがあります。
制汗剤の過度な使用は、汗のにおいよりも不快感を与えているかもしれません。
6.柔軟仕上げ剤
香水や制汗剤の使用に抵抗がある人の中には、香りつきの柔軟仕上げ剤を使って、体臭対策をする人もいます。
相談内容は、近所の洗濯物から漂う柔軟仕上げ剤のにおいに関することが多く、中には、頭痛や咳に苦しむ人もいました。
これは、香り成分に含まれている、天然のものではない、人工的に合成された化学物質が原因だと考えられています。
また、柔軟仕上げ剤の量を、洗濯物の重量に合わせて計量している人が少なく、香りを長持ちさせようと、標準使用量の2倍以上を使用している人もいるのだとか。
これは、スメハラの原因になってしまいますね。
スメハラとならないように注意すること
体臭にしても、香水などの人工的なにおいにしても、自分のにおいが周囲に不快感を与えるかどうか、自分で判断するのは難しいです。
もし、体臭を指摘されたら、生活習慣を見直すことが大切です。
野菜を積極的に取り入れた、ヘルシーな和食中心の食生活、質の良い睡眠、適度な運動を心掛けることで、においの原因となるジアセチルや活性酸素の発生を防げます。
もし、体臭以外のにおい(制汗剤や柔軟仕上げ剤、香水など)を指摘されたら、制汗剤や柔軟仕上げ剤は「無香料」タイプを選ぶようにしましょう。
飲食店でのにおい混じり、体臭とのにおい混じり、人工的な化学物質の不快なにおいを予防できます。
香水を使用する場合は適量を守りましょう。
足首は汗をかきにくいので、香水を足首につけると、汗のにおいと混ざらなくていいですよ。
最後に
しかし、特に、悪い生活習慣による体臭は、健康のためにも改善するべきです。
お互いに指摘しづらい世の中だからこそ、自ら積極的に気をつけたいですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。